プロの業者に頼むと数万円以上の費用がかかることもあり、本当にそれだけの効果があるのか不安になりますよね。
この記事では、プレスリリースを配信したプロジェクトの現実的な効果と、配信を見送るべき判断基準をわかりやすくお伝えします。
結論:明確なニュース性がないならプレスリリースは見送るのが賢明
クラウドファンディングの公開に合わせてプレスリリースを出せば、多くの人に知られて支援が集まるのではないかと期待する方は少なくありません。
しかし、クラファン相談室の現場でお伝えしている結論は、明確なニュース性や実績がない状態であれば、プレスリリースは見送るのが賢明であるということです。
プレスリリースは、あらゆる課題を解決する万能の集客ツールではありません。
メディアに取り上げてもらうには、単に新しいプロジェクトが始まったという事実だけでなく、世の中の関心事とどう結びついているかという視点が求められます。
また、支援がまだ1件も入っていない状態で配信しても、取材する側の関心を惹くのは難しいのが現実です。
予算や準備のリソースが限られているなら、プレスリリース配信サービスに費用をかけるよりも、既存のファンや知人に直接魅力を伝える準備に時間を使うことをおすすめします。
プロジェクトの状況によっては「実施しない方がいい」とお伝えすることも、誠実なサポートを行うクラファン相談室の大切な姿勢と考えています。

なぜ「打っても届かない」のか?メディアが記事化を決める現実
プレスリリース配信サービスを利用すると、数百件のWebメディアに情報が一斉送信されます。
提携サイトへ機械的に転載されるため、一見すると多くのメディアに載ったように感じられるかもしれません。
しかし、記者が自身の署名記事として取材・執筆してくれるケースはごくわずかです。
テレビや新聞、大手Webメディアの編集部には、毎日数百本から千本以上のプレスリリースが届いています。
担当者が目を通すのは見出しの数文字程度であり、その中で記事化が決まる基準は厳格です。
メディアが探しているのは、宣伝ではなく「今、読者に伝えるべき社会的なニュース」です。
例えば、社会課題に対する新しい解決策であったり、これまでにない技術革新であったりといった要素がなければ、個人の思いや商品の魅力をいくら熱弁しても記事にはなりにくいのです。
さらに、メディアはプロジェクトの信頼性を図る指標として支援の集まり具合も見ています。
公開したばかりで支援金額がゼロのプロジェクトは、世の中の関心がまだ証明されていないと判断されがちです。
結果として、数万円の配信費用を払ったものの、提携サイトへの自動転載だけで終わり、支援者は1人も増えなかったという結果になりかねません。
プレスリリースで反響を得られた成功例と、空振りに終わった失敗例
過去の実施事例を振り返ると、効果が出たケースと空振りに終わったケースには明確な違いがあります。
具体的にどのような差があるのか、CAMPFIREで公開されているプロジェクトをもとに解説します。
反響を得られた事例では、配信のタイミングと内容が計算されていました。
ある地域事業者が実施したプロジェクトでは、プレスリリースを出す前に知人や既存客へ丁寧に呼びかけを行い、公開初日で目標金額の50%を達成しました。
その実績を引っ提げ、「公開初日で目標50%達成、地域の伝統工芸を守る新取り組み」という切り口で配信を行ったところ、地元の新聞社とTV局から取材が入りました。
すでに人が集まっているという熱量が、メディアにとってのニュース価値になった例です。
一方で、空振りに終わった失敗例の多くは、告知の順番を誤っています。
目標達成の目途が立っていない公開直後に、「クラファンを開始しました」という告知のみのプレスリリースを配信した事例です。
どれほど商品が魅力獲的であっても、第三者からの支持が見えない段階では記者の目に留まりません。
SNSでの拡散も起きず、アクセス数は数件増えた程度で、支援への変換率はほぼゼロという結果に終わりました。
この2つの事例から分かるのは、プレスリリースは認知を一から作るものではなく、すでに起きている勢いを加速させるための増幅器であるということです。
効果を出すための「配信タイミング」と事前に知人へ届ける呼び水設計
もしプレスリリースを活用するのであれば、配信するタイミングと事前準備の設計が欠かせません。
最も効果的なタイミングは、プロジェクト公開前や公開直後ではなく、一定の成果が出た瞬間です。
「開始数時間で目標達成」「支援者数が100人を突破」といった具体的な実績ができてから配信することで、メディア側の関心は跳ね上がります。
この実績を作るために必要なのが、公開前の「呼び水」設計です。
クラウドファンディングにおける支援の多くは、公開直後の数日間に集中します。
そして、その初期支援の大部分は、見知らぬ第三者ではなく実施者の既存の知人やファンから生まれます。
公開前に応援してくれる人に直接連絡を取り、公開初日に支援してもらえるようお願いしておく準備が重要になります。
初日に支援が集まり、プロジェクトページに勢いが生まれることで、初めて外部の人やメディアの目を惹く準備が整います。
プラットフォームの仕組みとして、CAMPFIREのAll or Nothing方式では、目標金額に未達の場合、集まった支援金を受け取ることができません。
手数料は17%(サービス利用料12%+決済手数料5%、税別)ですが、未達で1円も受け取れなければ、プレスリリースにかけた費用もすべて赤字になってしまいます。
(なお、目標未達でも支援金を受け取れるAll In方式もありますが、どちらの方式であっても初動の重要性は変わりません。)
呼び水によって初動の安全圏を作ることが、結果としてプレスリリースの成功率を高めることにつながります。
クラファン相談室が提案する「今、プレスリリースを打つべきか」の判断チャート
自社のプロジェクトでプレスリリースを打つべきかどうか迷った時は、次の基準で判断してみてください。
客観的に自らの企画を見つめ直すことで、無駄な出費を抑えることができます。
まず、企画自体に社会性や話題性があるかどうかを確認します。
時事ニュースに関連していたり、地域課題の解決に直結していたり、業界初の技術を使っていたりする場合は、プレスリリースを検討する価値があります。
単なる新商品の販売や個人的な夢の実現にとどまる場合は、メディアに選ばれる確率が低いため見送るのが無難です。
次に、初動の支援が見込めているかを確かめます。
公開初日に目標の20%から30%以上の支援を集める見込みが立っているなら、配信を前向きに考えて良いでしょう。
知人への声かけができておらず、初日の支援予測が立たない場合は、配信サービスの手配よりも直接の連絡を優先すべきです。
最後に、予算とリソースの余裕を考慮します。
数万円の配信費用が事業全体の負担になるようであれば、配信を行わず、SNS運用やリターンの工夫に注力する方が現実的です。
クラファン相談室では、プレスリリースを無理にお勧めすることはしません。
現状の準備状態やプロジェクトの特性を伺った上で、費用対効果が低いと判断した場合は「今は出さないようにしましょう」と正直にお伝えしています。
集客の手段はプレスリリースだけではありません。
自分たちのプロジェクトに本当に合った方法を見極め、着実に準備を進めていきましょう。