最も高い500,000円のリターンには3人が申し込み、全体の約29%もの金額を占めていました。
一方で、15,000円のリターンが83人から選ばれ、支援人数の大きな柱となっていたのです。
今回はこの小樽のクラフトジン蒸留所の成功事例から、個人や小さな事業者が真似できる設計の秘訣を読み解きます。
こんにちは。
「クラファン相談室」編集部です。
運営元のfulfull株式会社として、クラウドファンディングに挑戦したい方へ誠実で正しい情報をお届けしています。
クラウドファンディング(クラファン)を始めたいけれど、具体的にどのようなリターンを用意すればいいのか分からず悩んでいませんか?
「自分には支援してくれる知り合いが少ないのではないか」と不安に感じることもありますよね。
今回は、実際にCAMPFIREで実施され、目標を大きく超える成果を出したプロジェクトの公開データを詳しく読み解きます。
データの数字を冷静に分析することで、これから挑戦するみなさんが自分のプロジェクトに応用できるヒントが見えてきます。
どんなプロジェクトだったか
まずは、実施されたプロジェクトの概要と結果について、公開されている事実データをご紹介します。
プロジェクト名は「Uターンして故郷小樽に蒸留所をつくりたい。日本初!お寺の地下でつくるクラフトジン」です。
カテゴリは「まちづくり・地域活性化」で公開されました。
プロジェクトの概要は以下の通りです。
【さらなるネクストゴールへ挑戦します!】日本有数の人気観光地でありながら、急激な人口減少など厳しい局面を迎える北海道小樽市。
真に地域に根付いた、長く愛されるものづくりを実現するため、首都圏で積んだ経験をもとに故郷へUターン。
2026年夏、小樽市内で初となるスピリッツ蒸留所を立ち上げます!
数字のデータを見てみましょう。
目標金額:3,000,000円
最終集まった金額:5,726,888円(達成率191%)
支援者数:182人
実施期間:2026-07-03 〜 2026-08-16
目標到達までの日数:公開から28.8日
お気に入り数:274
コメント数:11
売り切れたリターン:0種
目標金額300万円に対して、最終的に570万円以上を集める大成功となっています。
公開から約28.8日で目標の300万円を突破し、その後もセカンドゴールへ向けて支援を伸ばしました。
支援者数は182人と、決して千人単位の大人数ではありません。
それにもかかわらず570万円を超える結果を出せたのはなぜでしょうか?
その秘密はリターンの内訳にあります。
数字から見えること
支援金がどのように集まったのか、リターンの内訳データを詳しく紐解いてみましょう。
本プロジェクトで設定された各リターンの実績は以下の通りです。
- 3,000円「代表からのお礼のメール」× 9人 = 27,000円(全体の1%)
- 5,000円「オリジナル薄口グラス」× 15人 = 75,000円(全体の1%)
- 8,000円「オリジナルZINE&ビスコッティセット」× 19人 = 152,000円(全体の3%)
- 15,000円「100ml×3本】ZINEまたは習作シリーズ prologue #01-#03 3本セット」× 83人 = 1,245,000円(全体の24%)
- 20,000円「100ml×3本】ZINEまたは習作シリーズ + オリジナル薄口グラスセット」× 28人 = 560,000円(全体の11%)
- 40,000円「500ml×3本】ZINEまたは習作シリーズ prologue #01-#03 3本セット」× 22人 = 880,000円(全体の17%)
- 45,000円「500ml×3本】ZINEまたは習作シリーズ+ オリジナル薄口グラスセット」× 16人 = 720,000円(全体の14%)
- 500,000円「あなただけのオリジナルジン製作」× 3人 = 1,500,000円(全体の29%)
このデータから「人数の山」と「金額の山」がどこにあるかがはっきりと見えてきます。
まず「人数の山」は15,000円のリターンです。
182人の支援者のうち、83人(全体の約45%)がこの15,000円のセットを選んでいます。
集まった金額でも1,245,000円となり、全体の約24%を占めています。
3,000円〜8,000円の低価格帯のリターンを選んだ人は合計しても43人(全体の約23%)にとどまりました。
つまり、単に「安くて応援しやすいリターン」よりも「しっかりとした商品が届く15,000円帯」が一番人気だったということです。
次に「金額の山」を見てみましょう。
全体の支援額の中で最も大きな割合を占めたのは、なんと500,000円のリターンでした。
選んだ人数は3人と少ないですが、金額は1,500,000円に達し、全体の29%を占めています。
さらに、15,000円から45,000円までの「中〜高価格帯」をすべて合計すると、支援者は149人にのぼります。
金額にして3,405,000円となり、これだけで目標額の300万円を超えています。
1人あたりの平均支援単価を計算してみると、約31,466円となります。
一般的なクラファンの平均支援単価が10,000円前後と言われる中で、極めて高い単価を実現していることが分かります。

なぜ届いたと考えられるか
なぜこのプロジェクトは支援者数182人で570万円以上という素晴らしい結果を届けることができたのでしょうか?
数字のデータを根拠に、クラファン相談室では3つの理由が効いたのではないかと考えています。
1つ目は「15,000円」というお試ししやすい絶妙な主力商品の設計です。
本格的な500mlのセット(40,000円〜)へ行く前に、100ml×3本という手頃なサイズ感のセットを15,000円で用意しました。
これによって「応援したいし商品も試してみたい」と考えている層が迷わず選べる受け皿になったと考えられます。
もし最安の商品が40,000円からだった場合、支援をためらった人が多かったかもしれません。
2つ目は「500,000円」という超高額な選択肢を用意したことです。
「あなただけのオリジナルジン製作」という特別な体験型リターンを設定したことで、熱狂的なファンや企業・事業者からの大きな応援を受け止めることができました。
高額リターンは「誰も買わないかもしれない」と不安になって入れない人が多いですが、選択肢として置いておくことの重要性が分かります。
3人の支援が入っただけで150万円になり、全体の29%という大きな支えとなりました。
3つ目は「お寺の地下でつくるクラフトジン」「小樽初の蒸留所」という強いストーリー性です。
274人というお気に入り登録数の多さや、公開から28.8日で目標到達したスピード感からも、事前の期待感が高かったと推測されます。
支援の多くは公開直後の数日に集中する傾向があります。
公開前から熱量を持った応援者に声をかけ、初日にしっかり支援が入る「呼び水」の状態を設計していたことが、28日目の目標到達やその後のネクストゴール達成につながったのかもしれません。
これから挑戦する人が持ち帰れること
目標30万〜300万円を目指す個人や小さな事業者が、この事例から真似できるアクションをまとめます。
まず1つ目は「主力のリターンを1万円〜2万円帯に設定する」ということです。
低単価(3,000円や5,000円)のリターンばかりに頼ると、目標300万円を達成するためには600人以上の支援者が必要になってしまいます。
個人や小さな事業者が数百人の支援者を集めるのは簡単ではありません。
しっかりとした魅力のある商品や体験を用意し、15,000円前後をメインの価格帯に設定することで、少ない支援者数でも目標に届きやすくなります。
2つ目は「価格の幅(松・竹・梅)を広げて高額リターンを怖がらずに置く」ことです。
今回の事例のように、商品のお試しセット(竹)だけでなく、オリジナル制作や特別な体験権(松)といった高額な枠を1つ用意してみましょう。
万が一売れなくても損はありませんし、熱狂的な支援者が現れたときに大きな後押しになります。
3つ目は「公開初日のスタートダッシュを設計する」ことです。
クラファンでは公開直後の盛り上がりが非常に重要です。
公開前から知人やSNSで告知を行い、初日に支援してもらえる状態(呼び水)を整えておくことが成功への鍵となります。
ここで、クラファンに挑戦するにあたって知っておくべき基本的な仕組みについても正直にお伝えします。
今回の事例のように目標未達の場合は支援金を受け取れない「All or Nothing方式」を選ぶ場合、CAMPFIREの手数料は17%(サービス利用料12%+決済手数料5%、税別)となります。
目標未達でも集まった分を受け取れる「All In方式」もありますが、どちらの方式を選ぶにしても手数料を考慮した資金計画が必要です。
また、クラファン相談室としては「すべての人にクラファンをおすすめするわけではない」という姿勢も大切にしています。
もし現時点で「事前にお願いできる知人や見込み客がゼロ」「商品の強みやストーリーがまだ言語化できていない」という場合は、今すぐクラファンを実施しない方がいいかもしれません。
事前準備なしで公開してしまうと、初動がつかず埋もれてしまうリスクが高いからです。
まずはSNSや身近なコミュニティで小さなファンを作り、ストーリーを磨くことから始めることをおすすめします。
今回の小樽のクラフトジンの事例は、明確なコンセプトと適切な価格帯の設計があれば、180人規模の支援者でも大きく目標を達成できることを証明してくれています。
これから挑戦されるみなさんも、ぜひリターン設計と事前準備を丁寧に行ってみてくださいね。
不安なことがあれば、いつでもクラファン相談室へご相談ください。
実施者の方の意図や実際の経緯とは異なる可能性があります。
クラファン相談室(fulfull株式会社)はCAMPFIREのキュレーションパートナーですが、本プロジェクトの実施・支援には関与していません。
出典:https://camp-fire.jp/projects/938050/view