高すぎると達成できない不安があり、低すぎると赤字にならないか心配になりますよね。
この記事では、必要経費から逆算して失敗しない目標金額を算出する手順をわかりやすく解説します。
目標金額で悩みやすい理由とよくある勘違い
クラウドファンディングを始めようとするとき、最初にぶつかる大きな壁が目標金額の設定です。
いくらにすればいいのか見当がつかず、悩んでしまう方は少なくありません。
多くの方が陥りがちなのが、目標金額を「集まったら嬉しい希望の金額」で決めてしまうことです。
たとえば「新商品の開発に100万円くらい欲しいから100万円にしよう」といった決め方です。
気持ちはよく分かりますが、この決め方は後から大きなトラブルを引き起こす原因になります。
また、逆に「達成できないと恥ずかしいから、とりあえず10万円くらいにしておこう」と極端に低く設定してしまうケースもあります。
しかし、目標金額が低すぎると、集まったお金だけではリターンの発送費や製造費をまかなえず、自分のポケットマネーから補填することになりかねません。
クラウドファンディングにおける目標金額は、応援を集めるための看板であると同時に、プロジェクトを破綻させないための予算計画でもあります。
勘や願望で決めるのではなく、根拠のある数値から組み立てていく必要があります。

CAMPFIREの目標金額を決める基本の逆算計算式(手数料17%の計算方法)
目標金額を決める際の鉄則は、欲しい金額から考えるのではなく「最低限かかる経費」から逆算することです。
集まった支援金がそのまま手元に残るわけではないため、あらかじめ差し引かれる費用を計算に入れておく必要があります。
CAMPFIREでプロジェクトを実施する場合、集まった支援金に対して手数料が発生します。
All or Nothing方式や通常のAll In方式の場合、手数料は17%(サービス利用料12%+決済手数料5%、税別)となっています。
つまり、集まった金額の17%に消費税を加えた額が、CAMPFIRE側に支払われる手数料となります。
手元に必要な金額を残すためには、次のような要素をすべて足し合わせる必要があります。
- 商品やサービスの製造・仕入れ原価
- 支援者へ届けるための梱包費および送料
- ページ作成や宣伝にかかる広報費
- CAMPFIREに支払う決済・サービス手数料(17%+税)
たとえば、商品の製造と発送に30万円かかり、広報費に2万円使うとします。
このとき、必要な現金は32万円です。
ここから手数料17%と消費税(17%×1.1=18.7%)が引かれることを考慮して計算しなければなりません。
計算式としては「手元に残したい金額 ÷ (1 - 0.187)」という形で逆算します。
32万円を残したい場合は「32万円 ÷ 0.813」となり、約39万4,000円が最低限必要な目標金額となります。
手数料を見落として32万円で目標設定してしまうと、実際の振込額は約26万円まで減ってしまい、約6万円の赤字が発生してしまいます。
計算式をしっかり頭に入れて、手元に残る額を正確に把握することが大切です。
「All-or-Nothing」と「All-In」で変わる目標金額の考え方
CAMPFIREで掲載する際には、支援金の受け取り方法として2つの募集方式から選択することになります。
どちらの方式を選ぶかによって、目標金額が持つ意味やリスクの大きさが変わってきます。
All-or-Nothing方式での設定 All-or-Nothing方式は、募集期間内に目標金額へ到達した場合のみプロジェクトが成立する仕組みです。 目標に1円でも届かなかった場合、支援金はすべて支援者に返金され、プロジェクト主は支援金を受け取ることができません。 その代わり、リターンを履行する義務も発生しません。
この方式を選ぶ場合、目標金額は「これが集まらなければ絶対に事業を開始できない最低ライン」に設定するのが基本です。
未達で終了した場合は事業自体をキャンセルできるため、自己資金を持ち出すリスクを最小限に抑えられます。
達成のハードルは高くなりますが、赤字リスクを防ぐという意味では安全な選択肢と言えます。
All-In方式での設定 All-In方式は、目標金額に届かなかった場合でも、1円以上支援が入ればプロジェクトが成立する仕組みです。 集まった支援金を必ず受け取れるメリットがありますが、目標未達であっても支援者に対してリターンを届ける絶対的な義務が発生します。
この方式で目標金額を高く設定しすぎると、大変危険な状況に陥ることがあります。
たとえば、目標100万円に対して10万円しか集まらなかった場合でも、10万円分のリターンを製造して発送しなければなりません。
不足した90万円分の費用は、すべて自分の資金から出す必要があります。
そのため、All-In方式を採用する場合は「もし目標に届かず支援が少量であっても、自己資金でカバーしてリターンを確実に届けられる金額」を意識して設定することが求められます。
失敗しない目標金額の設定5ステップ(事前準備から算出まで)
実際の作業として、どのような手順で目標金額を出していけばよいかを順番に整理していきます。
焦らずに一つひとつのステップを踏んでいくことで、無理のない現実的な数値が見えてきます。
まず最初におこなうのは、リターンの原価と送料の計算です。
提供する返礼品をつくるためにいくらかかるのか、梱包資材や配送代金はいくらになるのかを個数ごとに細かく算出します。
次に、プロジェクト全体にかかる固定費を洗い出します。
チラシの印刷代や撮影にかかった費用、イベント会場のレンタル料など、支援の数にかかわらず発生する経費をまとめます。
続いて、前述した手数料17%(+税)を考慮した逆算計算をおこないます。
原価・送料・固定費を足した「必要な現金」から、CAMPFIREの手数料分を上乗せした総額を弾き出します。
そしてここからが最も重要なステップになりますが、公開初日に集められる支援額(呼び水)の予測を立てます。
CAMPFIREで公開されているページを確認すると、支援が集まっているプロジェクトの多くは、公開直後の数日間に大きな動きがあることがわかります。
クラウドファンディングの初動をつくるのは、ネット上の見知らぬ人ではなく、実施者の身近にいる知人や友人、既存のファンです。
公開前に「今度クラファンを始めるから応援してほしい」と声をかけ、初日に支援してくれる見込みの人たちをカウントします。
この事前に約束できた金額を「呼び水」と呼びます。
最後のステップとして、呼び水の金額と逆算した目標金額を見比べます。
一般的に、目標金額の20%〜30%程度が初日に集まると、プロジェクトの勢いが伝わり、外部の一般支援者からも支援されやすくなると言われています。
事前の声かけで集められそうな金額が10万円だとしたら、最初の目標金額は30万円〜50万円程度に設定するのが現実的なラインとなります。
算出された金額が高すぎるなら「今は実施しない」選択も大切
手順に沿って計算を進めた結果、必要な目標金額が200万円になったとします。
しかし、知人への事前連絡で集められそうな金額が5万円程度しか見込めない場合、そのまま公開へ踏み切るのは非常にリスクが高いと言えます。
初動で支援が伸び悩むと、ページの勢いがないと判断され、CAMPFIREのサイト内でも露出がづらくなってしまいます。
その結果、目標に届かず赤字を抱えたり、準備にかけた時間と労力が無駄になってしまったりする可能性があります。
私たち「クラファン相談室」(運営:fulfull株式会社)では、無理な挑戦をおすすめすることはしていません。
計算上の目標金額と、事前準備で集められる金額の差があまりにも開きすぎている場合は、「今は実施しない」という判断を下すことも誠実で大切な選択です。
もし目標金額が高すぎて届きそうにないと感じたら、以下のような見直しをおこなうことを検討してみてください。
- リターンの仕様を見直して製造原価を下げる
- プロジェクトの規模を縮小して必要な固定費を減らす
- SNSやメルマガなどで事前に応援者やファンを増やす期間をつくる
- 自己資金をもう少し貯めてから再挑戦する
クラウドファンディングは、思い立った瞬間にすぐ始めなければいけないものではありません。
しっかりと準備を整え、確実に届く計画ができてからスタートする方が、結果として成功への近道になります。
無理に公開して後悔する前に、まずは数字を冷静に弾き出し、実施するタイミングを含めて慎重に検討してみてください。