作りたい商品や届けたいサービスのアイデアがあっても、配送の手間や費用がどれくらいかかるのかが見えないと不安になりますよね。
リターン設定時に送料や梱包費を正しく見込んでおくことで赤字を防ぎ、事前の発送計画を順番に進めることが成功への鍵となります。
今回はクラファン相談室が、失敗しない発送計画の手順と注意点について正直にお伝えします。
「送料で赤字に?」リターン発送前に知っておきたいよくある悩み
クラウドファンディングの準備を進める中で、リターンの内容やデザインに目を奪われ、配送にかかる費用や手間を後回しにしてしまう方は少なくありません。
プロジェクトが目標金額を達成して喜んだのも束の間、実際に商品を発送してみたら手元にまったくお金が残らなかったというご相談を現場でもよくお受けします。
リターン発送で赤字になってしまう最大の理由は、配送料金だけでなく梱包資材や作業の手間を含めた全体コストを把握できていないことにあります。
特に、商品1個あたりの支援単価が低いリターンや、大きくて重いリターンを設定する場合は注意が必要です。
1箱あたりの送料が数百円であっても、支援者が数百人に達すると配送費用だけで数十万円規模の支出になります。
また、クラウドファンディングでは集まった支援金がそのまま全額手元に入るわけではありません。
例えばCAMPFIREの場合、All or Nothing方式でもAll In方式でも、支援金に対して17%(サービス利用料12%+決済手数料5%、税別)の手数料が発生します。
支援金からプラットフォーム手数料が引かれ、そこから商品の製造原価、さらに送料や梱包費を差し引くという計算を事前に行っておく必要があります。
さらに、支援金の入金時期と発送作業のタイミングにも注意が必要です。
プロジェクト終了後に支援金が振り込まれるまでのスケジュールや、事前の自己資金準備については(/column/crowdfunding-cost-self-funding/)や(/column/crowdfunding-payout-timing/)の記事でも詳しく解説していますが、入金前に梱包資材を購入したり配送料金を立て替えたりする場面も出てきます。
こうしたお金の流れや配送コストを甘く見積もってしまうと、せっかくのプロジェクトが成功しても起案者様自身が苦しい思いをすることになります。
クラファン相談室(運営:fulfull株式会社)では、こうした発送にかかる具体的な数字をプロジェクトの公開前にしっかりと組み立てることをおすすめしています。
ここからは、発送時の赤字を防ぐための具体的な計算手順を順番に解説していきます。

失敗しない!リターンの送料と発送コストを正確に計算する3手順
リターンの価格や目標金額を設定する前に、発送に関する詳細な見積もりを完了させておくことが大切です。
感覚で決めてしまわずに、以下の手順に沿って1つずつ正確な確認を進めていきましょう。
発送物のサイズと重量をサンプルで測定する
最初に行うべきなのは、リターンとして送る商品の正確な大きさと重さを測ることです。
試作品や既存の製品がある場合は、実際に手元に用意して計測します。
ここで多くの方が落とし穴にはまるのが、商品本体のみのサイズで計算してしまうことです。
実際には、商品を保護する個装箱、傷を防ぐための緩衝材、取扱説明書、お礼の手紙、パンフレットなども一緒に送ることになります。
これらすべてを箱や封筒に収めた「最終発送状態」のサイズと重量を測らなければ意味がありません。
数ミリの厚みの違いや数グラムの重量オーバーによって、予定していた配送サービスが使えなくなり、1サイズ上の高価な宅配便に変更せざるを得なくなるケースがあります。
サンプル段階で梱包完了状態を作り、縦・横・高さの合計と重量を精密に計測しておくことが重要です。
配送方法と梱包資材のコストを洗い出す
商品の最終サイズが確定したら、どのような配送手段を使うのかを決定します。
ポスト投函が可能な薄型サイズであれば、日本郵便のクリックポストやレターパックライトなどの全国一律料金のサービスが選択肢に入ります。
大きめのサイズや壊れやすい商品であれば、追跡機能や補償がついた宅配便を利用することになります。
配送方法が決まったら、同時に必要な梱包資材のコストを1つずつ洗い出します。
商品を直接入れるOPP袋、外側のダンボール箱やクッション封筒、割れものを守るエアクッション、箱を止める粘着テープ、宛名ラベル用紙など、必要な資材は多岐にわたります。
資材をまとめて購入すれば1個あたりの単価は下がりますが、少量注文の場合は単価が高くなります。
1セットあたり数十円から数百円かかる資材費用を、必ず配送運賃に上乗せして1個あたりの発送原価として算出してください。
手数料や税金を考慮してリターン価格を設定する
商品の製造原価、配送費、梱包資材費が出揃ったら、最後にプラットフォームの手数料と消費税を考慮した価格設定を行います。
前述した通り、CAMPFIREの手数料は17%(サービス利用料12%+決済手数料5%、税別)です。
例えば、商品の製造原価が2,000円、送料と梱包費の合計が1,000円かかるリターンがあるとします。
原価の合計は3,000円ですが、リターン価格をそのまま3,000円に設定してしまうと、手数料が差し引かれた時点で大きな赤字になってしまいます。
手数料17%とそれにかかる消費税(計18.7%)を引かれた後に、しっかりと手元に3,000円が残り、さらにプロジェクト本来の活動資金が得られるように価格を逆算する必要があります。
さらに、資材の値上がりや送料改定、予期せぬ再発送などのリスクに備えて、計算上の原価に10%程度のリスク余剰を見込んでおくのが安全な設計です。
余裕を持たせた金額に設定することが、万が一の事態からプロジェクトを守るガードになります。
サイズ選びから配送トラブルまで!リターン発送時の4つの注意点
コストの計算が完璧にできていても、実際の発送業務では思いがけないトラブルが発生することがあります。
公開前に把握しておきたい代表的な注意点をまとめました。
- 厚みや重量の限界による配送方法の強制的な変更
- 沖縄や離島、海外からの支援者に対する追加送料の発生
- 支援者の引っ越しや住所入力ミスによる返送と再発送のコスト
- 生産ラインの遅延や悪天候によるお届け時期の遅れとクレーム
特に注意したいのが、薄型配送サービスの厚み制限です。
「3cm以内」と決められている配送方法の場合、発送窓口の計測定規を通らなければ受領してもらえません。
衣類やタオルなどの布製品は、空気を含んで膨らんでしまい、発送現場で引っかかってしまう事例が非常に多いです。
また、支援者様の中には沖縄や離島にお住まいの方や、海外からの支援をご希望される方もいらっしゃいます。
宅配便を利用する場合、お届け先地域によっては送料が通常の1.5倍から2倍近くに跳ね上がることがあります。
リターンの説明文に「離島や海外への発送については事前にお問い合わせください」といった注意書きを明記しておくか、全国一律料金の配送サービスを選ぶなどの工夫が必要です。
さらに、プロジェクト終了からリターン発送までに数か月間の期間が空く場合、支援者様の引っ越しや転居によって宛先不明で戻ってくるケースが発生します。
再発送にかかる送料を起案者と支援者のどちらが負担するのか、あらかじめリターン本文や注意事項に明記しておくことが、無用なトラブルを防ぐポイントです。
梱包や発送の手間が予算に合わないなら「実施しない」選択肢も
ここまで発送計画の立て方や注意点をお伝えしてきましたが、詳細な計算を進める中で「自分たちの人手や資金では商品の発送業務をやり切るのが難しそうだ」と感じることもあるかもしれません。
クラファン相談室では、状況によってはモノのリターンを無理に設定しない、あるいはプロジェクトの実施自体を一度見送るという判断も極めて誠実で正しい選択肢だと考えています。
リターンの発送作業は、単に金銭的なコストがかかるだけでなく、想像以上の時間と労働力を必要とします。
届いた資材の検品、商品の梱包、宛名シールの印刷と貼り付け、配送業者への引き渡し、配送番号の個別通知など、支援者の数が多ければ多いほど作業量は膨大になります。
もし本業やプロダクトの開発に支障が出るほど発送作業に追われてしまうのであれば、リターンの内容そのものを工夫してみるのも一つの方法です。
具体的には、物理的な商品を発送するリターンではなく、デジタル形式のリターンを中心に構成する手法があります。
例えば、心を込めた感謝のお礼メールやサンクス動画の送付、活動報告ページやWebサイトへのお名前掲載といったコンテンツです。
また、オンラインイベントへの招待券やワークショップ参加チケットなど、配送コストが一切かからない体験型リターンをメインに据えることで、発送の手間や赤字リスクを完全に排除することができます。
リターン設計に不安がある方は、高単価な体験型リターンの作り方を解説した(/column/case-irohachieri-birthday/)などの事例記事も参考にしてみてください。
もしリターンの準備や配送のハードルが高すぎて、プロジェクトの本来の目的が達成できないと判断される場合は、準備が整うまで時期をずらすか、今回はクラファンを実施しないという判断をする方が結果として起案者様の身を守ることになります。
まとめ:クラファン相談室と一緒に事前の発送計画から始めよう
クラウドファンディングにおいて、リターンの発送は支援者様との約束を果たす最も重要なプロセスです。
応援してくださった方々に感謝の気持ちを込め、無事にリターンを届けることができて初めてプロジェクトは成功と言えます。
支援の多くは公開直後の数日に集中する傾向があり、初動の勢いを作るためには事前に既存の知人やファンへ声をかけて応援の「呼び水」を用意しておくことが成功の定石です。
しかし、どれほど多くの支援を集めることができても、リターンの送料計算ミスや発送トラブルで赤字になってしまっては意味がありません。
まずは手元にあるサンプルや梱包資材を使って、具体的な発送コストを1つずつ可視化していくことから始めてみてください。
配送方法の選び方やリターンの価格設定に不安がある方は、ぜひクラファン相談室にご相談ください。
クラファン相談室(運営:fulfull株式会社)では、プロジェクトの公開前から事前の発送計画やリターン設計を一緒に確認し、無理のない挑戦をサポートしています。
不安な点や疑問点がある方は、まずは事前計画のチェックから一緒に始めていきましょう。