All or NothingとAll Inという2つの言葉を見かけて、自分はどちらを選べばいいのだろうと不安になっていませんか。
この募集方式の選び方は、クラウドファンディングを検討する際に多くの方が迷うポイントです。
この記事では、それぞれの特徴やリスク、あなたの企画にぴったりの方式を選ぶ手順をわかりやすく解説します。
どちらを選ぶべき?All or NothingとAll Inの根本的な違い
クラウドファンディングを計画するとき、最初に決める重要な設定が「募集方式」です。
CAMPFIREをはじめとする主要なプラットフォームでは、主に「All or Nothing(オール・オア・ナッシング)」と「All In(オール・イン)」の2種類が用意されています。
この2つの違いをひと言で表すと、「目標金額に届かなかったときに支援金を受け取るかどうか」です。
All or Nothing方式は、募集期間内に目標金額を達成した場合のみ、集まった支援金を受け取ることができます。
もし1円でも目標に届かなければ、プロジェクトは不成立となり、支援金は全額支援者に返金されます。
一方のAll In方式は、目標金額に届いても届かなくても、集まった支援金をそのまま受け取ることができる方式です。
支援者がたった1人であったとしても決済が行われ、支援金がプロジェクトオーナーに支払われます。
料はプロジェクトが達成または成立して支援金を受け取る際にのみ発生します。
手数料の割合自体はどちらの方式を選んでも変わりません。
では、なぜわざわざ2つの方式に分かれているのでしょうか。
それは、あなたが作ろうとしている製品やサービスが「資金が集まらなくても提供できるものかどうか」によって、選ぶべき方式がまったく変わってくるからです。
製品やサービスの提供義務と、クラファンを行う資金目的を整理することが重要です。
仕組みを正しく整理すれば、自分に合う方式が自然と見えてきます。
場合によっては「今はまだクラファンをやらない」という正しい判断ができるようになることもあります。

目標未達なら0円「All or Nothing」の特徴と向いているプロジェクト
All or Nothing方式は、一見すると「目標に届かなかったら0円になってしまうリスクが高い方式」に見えるかもしれません。
しかし、プロジェクトオーナーを守るという意味では、非常に合理的で安全な仕組みでもあります。
この方式の最大のメリットは、プロジェクトが不成立になった場合、支援者に対するリターンの発送義務が発生しないことです。
たとえば、新しく商品を開発するために工場へ金型を発注したい企画があるとします。
工場への発注には最低でも100万円が必要で、支援金が50万円しか集まらなかった場合、自腹で残りの50万円を補填しないと商品を作ることができません。
もし補填できなければ、支援者に商品を届けることができず、大きなトラブルになってしまいます。
All or Nothing方式にしておけば、100万円に届かなかった時点でプロジェクトは不成立となり、支援金は自動的に返金されます。
プロジェクトオーナーは「集まった半端な資金だけを抱えてリターンが送れなくなる」という最悪の事態を避けることができます。
CAMPFIREで公開されているプロジェクトを見ると、All or Nothing方式が向いているケースにはいくつかの傾向が見られます。
- 一定の資金が集まらないと製造や建設などの事業自体がスタートできない企画
- 自腹で不足分を補填することが難しく資金調達の成否が事業の可否に直結する企画
- 目標達成に向けた背水の陣として支援者と一体となって盛り上がりを作りたい企画
目標未達で0円になる恐怖はありますが、「支援金が集まらなければ実行しない」という前提をオープンにできるため、支援者にとっても「自分が応援して達成させたい」という気持ちが生まれやすい特徴もあります。
1人の支援でも実行する「All In」の特徴と注意点
All In方式は、目標金額に達しなくても支援金を受け取れるため、一見すると初心者にとって安心な選択肢に見えます。
「とりあえず集まった分だけでももらえれば助かる」と考えて、安易にAll Inを選んでしまう方は少なくありません。
しかし、クラファン相談室の現場では、このAll In方式によるトラブルや後悔の声をよく耳にします。
All In方式を選ぶ際、絶対に忘れてはいけないルールがあります。
それは「支援者が1人でも存在しプロジェクトが公開された以上、目標未達であっても必ずリターンを履行しなければならない」という点です。
例えば、目標金額を100万円に設定してAll Inで公開し、結果として支援金が3000円(支援者1人)しか集まらなかったとします。
この場合でもプロジェクトは成立し、手元には手数料を差し引いた支援金が入ります。
そしてプロジェクトオーナーは、そのたった1人の支援者に対して、事前に約束したリターンを絶対に届けなければなりません。
もしリターンが「オリジナルTシャツ」だった場合、1着だけ特注で作ると数千円から1万円以上のコストがかかり、完全に赤字になってしまうケースがあります。
さらに、集まった3000円では本来の事業目的だった100万円の取り組みを実行することもできません。
All In方式は、提供体制がすでに整っている企画で強みを発揮します。
- すでに商品の生産が決まっており先行予約販売やPR目的でクラファンを活用する企画
- 集まった資金の額に関わらずすでに自分の資金や他の調達手段で事業の実行が確定している企画
- 投稿する活動報告やイベントなど資金の多寡にかかわらず実施することが決定している企画
All Inは資金調達の手段というよりも、先行予約販売やプロモーションとしてクラファンを利用する場合に非常に相性が良い方式です。
目標金額に届かなくても自分自身の力で最後までリターンを届ける準備と覚覚があるかを、必ず自分自身に問いかけてみてください。
迷ったときの判断基準!あなたの企画に合う方式を選ぶ3ステップ
自分の企画にはどちらの方式が合っているのか、まだ迷ってしまう方も多いはずです。
そこで、クラファン相談室がおすすめする判断手順を3つのステップに整理しました。
順番に自分自身の企画と照らし合わせてみてください。
ステップ1:リターンの提供義務を最後まで果たせるか確認する
最初に確認すべきなのは、支援が集まらなかった場合でもリターンを製造・発送できるかどうかです。
自分の手持ち資金や既存の事業予算でリターン費用をカバーできるのであれば、All In方式を選択する余地があります。
もし「支援金が集まらないとリターンの原価すら払えない」「赤字になってリターンが送れなくなる可能性がある」という場合は、迷わずAll or Nothing方式を選びましょう。
支援者に迷惑をかけないための安全装置として機能します。
ステップ2:目標金額に達しなくても事業を実行できるか考える
次に、プロジェクト自体の目的を振り返ります。
今回のクラファンで集めようとしている資金は、事業を行うために絶対に必要な最低ラインでしょうか。
それとも、あればあるほど嬉しい設備投資や活動費でしょうか。
目標金額に届かなかったときに「事業そのものを中止せざるを得ない」のであれば、All or Nothing方式が適しています。
「目標に届かなくても、自己資金や融資などを組み合わせて絶対に事業を実行する」という決意と見通しがあるなら、All In方式が適しています。
ステップ3:初動の支援を集める準備ができるか確認する
方式を選ぶと同時に考えておきたいのが、公開直後の集客設計です。
クラウドファンディングの支援の多くは、公開直後の数日間に集中する傾向があります。
そして、その初動の支援のほとんどは、見知らぬ第三者ではなく、あなた自身の友人や知人、既存の顧客から生まれます。
公開前に周囲の応援者に声をかけ、公開初日に支援が入る状態を作る設計を「呼び水」と呼びます。
この呼び水をしっかり用意できるかどうかが、プロジェクト成功の鍵を握ります。
All or Nothingを選ぶ場合は、初動でスタートダッシュを切り、勢いをつくる準備が不可欠です。
All Inを選ぶ場合でも、初動が伸びなければ目標達成は難しくなります。
公開前の声かけという地道な準備ができるかどうかを、企画の段階でしっかりイメージしておきましょう。
無理に始めなくて大丈夫。クラファンを実施しない方がいいケース
ここまで募集方式の違いや選び方をお伝えしてきましたが、クラファン相談室として事前にお伝えしたい大切な事実があります。
それは、「どんな企画でもクラウドファンディングをやれば上手くいくわけではない」ということです。
クラファン相談室では、状況によっては「今はクラウドファンディングを実施しない方がいいですよ」とお伝えすることもあります。
無理にスタートして傷を負ってしまうより、実施しないという正しい判断をする方が大切な場面もあるからです。
具体的には、以下のようなケースに当てはまる場合は、一旦立ち止まって企画を見直すことをおすすめします。
- 知人や既存のファンへの事前のアプローチ(呼び水づくり)を一切するつもりがない場合
- リターンの原価計算が曖昧で支援が入るほど赤字が増えてしまう計算になっている場合
- 目標金額に届かなかったらリターンを送らなくてもいいだろうと誤解している場合
- 資金を集めることだけが目的になっており支援者へどんな価値や体験を返せるかが決まっていない場合
クラウドファンディングは魔法の打ち出の小槌ではありません。
Web上にページを公開しただけで、知らない人から次々と支援がお金として振り込まれることは滅多にありません。
事前準備の時間が取れない場合や、リターンの提供体制が整っていない場合は、無理をして今すぐ始める必要はありません。
準備が整うまで時期を遅らせたり、他の資金調達手段を検討したりすることも、立派なプロジェクト管理の成果です。
まとめ
クラウドファンディングの「All or Nothing」と「All In」の選択は、単なるWeb上の設定の違いではありません。
あなたの事業のリスク管理と、支援者に対する誠実さの表れです。
目標金額に達しなければ事業が成り立たない、あるいはリターンが送れなくなる場合は、All or Nothing方式を選びましょう。
すでに事業の実行が決まっており、集まった支援の規模に関わらず確実にリターンを届けられる場合は、All In方式が適しています。
どちらの方式を選ぶにしても、公開前に知人や応援者に声をかけ、初日の勢いを作る「呼び水」の準備が成功のポイントになります。
無理に今すぐ始める必要はありませんので、まずは自分の資金目的と提供体制をじっくり整理することから進めてみてください。